夏の痛風発作

100万人いると言われている痛風患者、最近の長引くコロナ禍のために患者数が3割増えているそうです。自粛生活のストレスで家飲み酒量が増えたためと考えられます。

 

痛風は、尿酸値が高い人に起こりやすく、足の親指の付け根、足首、膝関節、手首や肘関節などに急激に起こる急性の関節炎で、「風が当たっただけでも痛い」くらいの強烈な痛みのために数日間は歩行も困難になる病気です。

 

 

 

 

尿酸とは「プリン体」が分解されて出来る老廃物で、これが関節内に貯まることで痛風発作が起こります。関節以外には腎臓にも貯まり、腎機能障害や尿路結石の原因にもなります。また、尿酸が高いまま放置すると、心血管障害や脳血管障害の原因になることもわかっています。

プリン体とは運動したり臓器を動かしたりするためのエネルギー物質で、常に体内で作られています。また、プリン体は遺伝情報を伝えるための核酸(DNA)の構成成分でもあるため、古くなった細胞(筋肉)が壊れたり分解される際には大量のプリン体が出来ます。

プリン体は肝臓で分解されて尿酸となり、尿や便の中に排出されます。プリン体の量が多いと尿酸値も高くなり、痛風発作の原因になります。

 

プリン体は常に体の中で作られています。食事やビールから摂取するプリン体もありますが、体内で生成されるプリン体に比べればごく少量です。このため、食べ物や飲みものに気を付けて尿酸を下げようとすることは、効果が無いわけではありませんが、それだけでは不十分です。どうしても薬の助けが必要になることがあります。

 

高尿酸化粧の原因として、「生産過剰型」と「排泄低下型」があります。

生産過剰型は、体内での尿酸生成が多い人です。常に大量の細胞が分解されている人、筋肉量が多く、ときどき激しい運動をする人に多い傾向があります。

常に負荷の高い筋トレをしている人、暑い時の100kmマラソンを走ったり、3日かけて250キロ走る人、真夏にロングのトライアスロンやる人なんかが当てはまります。

排泄低下型は、肥満傾向の人、アルコールをたくさん飲む人に多い傾向があります。

暑いときに水分摂取せずに運動して脱水傾向の人、ゴール後にアルコールを多飲して水を飲まない人が当てはまります。

それぞれにあった薬を使うことで高尿酸血症、痛風発作は予防できます。

 

ここまで書いてきて、気がつかれた人もいるでしょうが、

僕自身、上記の生産過剰型、排泄低下型の条件を全て満たしています。

数年前にウルトラマラソンの後に急に膝関節が痛くなり、腫れて熱を持ちました。使いすぎによる疲労と思っていましたが、よく調べると痛風発作でした。それ以来尿酸を下げる薬を内服しています。

 

運動すれば病気になりにくいことは皆さんご承知ですが、痛風に関しては激しい運動している人の方がなりやすい傾向もあります。お酒を愛するアスリートに多い疾患です。

 

一度発作を経験した人ならわかると思いますが、ホントツラいです。動けません。

いったん発作が起これば通常の3倍くらいの消炎鎮痛剤をごくごく短期間投与してとにかく発作を収めます。発作が収まってからは尿酸値を下げる治療を行います。発作が疑われたら出来るだけ早くご相談ください。

 

夏はただでさえ脱水になりやすく、腎臓の機能も低下します。

こまめな水分補給を行い、腎臓を守り、痛風発作を防ぎましょう。

心配事があればご相談ください。更に詳しいお話しをいたします。