新型コロナウイルスにおける静脈血栓塞栓症予防新型コロナウイルスにおける静脈血栓塞栓症予防

 

 

 

              

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で大変な思いをされている方々がたくさんおられると思います。

報道や学会報告よると、重症化する人は静脈血栓症が問題になっている事が多いようです。僕はこれまで血管専門医として多くの静脈血栓症患者を診断・治療した経験があり、今回のコロナ関連血栓症にも大いに注目しておりました。そんなとき、所属する血管外科学会・脈管学会・静脈学会などから「新型コロナウイルスにおける静脈血栓塞栓症予防の指針」が発表されました。

http://www.jsvs.org/ja/info/pdf/20210125.pdf

やはり予防の理学療法(弾性ストッキングや間欠性空気圧迫)や血栓症の早期発見、早期の治療開始が大切という内容です。

当院では新型コロナのPCR検査などは行えませんが、静脈血栓症のスクリーニング・予防・診断・理学療法(弾性ストッキングや空気圧間欠圧迫法)、抗凝固療法を行うことが出来ます。

コロナでなくとも、 足がむくんできたなどの時には早めにご相談ください。

下肢静脈瘤治療用レーザー装置について

 

当院で使用している下肢静脈瘤治療用レーザー装置のお話をします。

 

少し前まで下肢静脈瘤の治療は、静脈を抜去する「ストリッピング術」が主流でした。この方法は足の付けを34cm、膝下を1cm程度切開し静脈全体を抜いてしまう方法で、侵襲が少し大きく、基本的には入院が必要な手術でした。

2014年に外来でも手術可能なカテーテルを使って血管の中から静脈を焼く手術「血管内焼灼術」が保険適応となり、国内でも広く行われるようになりました。しかしながら、手術で使用できる機械は全てが海外製で、日本製はなく、手術すればするほど海外メーカーが潤う仕組みになっていました。

当時、院長は広島大学病院に在籍しており、2015年から尾道のレーザー機器メーカー「ユニタック」と共同で国産下肢静脈瘤治療用レーザー装置の開発に乗り出しました。さらに海外製品にはない自動牽引装置も同時に開発を始めました。それから数年にわたり基礎的な実験、改良、動物実験、ヒトによる臨床試験などを繰り返しました。開発は難航しましたが、2019年ついに薬事承認を取得し製造販売することが出来るようになりました。

現在、当院での手術にはこの装置を使っています。性能は海外製の製品と同等ですが、自動牽引装置のおかげで術者が手術に集中出来て、より安全に手術が行えるようになりました。

実は、この装置の研究改良はまだまだ継続しております。今年度中に新しい「スリムファイバー」が薬事承認を受けられるように奔走しておりますし、レーザー装置の改良も行っております。当院は、今後もこの装置の改良に関わり、より低侵襲な新しい機器が使用できるように努力します。

 

ユニタック:https://unitac.net/med-04/

臨床研究 :https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000035267